「ホスピス」と「緩和ケア病棟」と「在宅ホスピス」と「特養での看取り」の違い

末期がん・難病・老衰のご家族に直面したとき、「ホスピス」「緩和ケア病棟」「在宅ホスピス」「特養での看取り」など似た言葉が乱立して混乱されるご家族が多くいます。

本記事では、それぞれの違い・対象者・費用・期間を整理し、ご家族が納得できる「最期の場所」をどう選ぶかを生活相談員の視点から解説します。

緩和ケアとホスピスケアの根本的な違い

厚生労働省・日本緩和医療学会の定義によれば、緩和ケアは「がんと診断された直後から提供されるケア」で、治療と並行して行うのが基本です[1]。一方、ホスピスケアは「治癒が困難となった終末期に、症状緩和とQOL向上に焦点を当てたケア」を指します。

つまり、緩和ケアは「治療の途中も並行して」、ホスピスケアは「治療より暮らしの質を優先」というスタンスの違いがあります。両者は対立する概念ではなく、緩和ケアの最終段階としてホスピスケアがある、と捉えると分かりやすいでしょう。

緩和ケア病棟(病院併設)の特徴

緩和ケア病棟は、病院に併設された専門病棟で、医師・看護師による集中的な症状緩和を提供します。平均入院期間は約30日と比較的短く、症状が安定すれば自宅や別施設に退院することが前提です[2]

1割負担の場合、30日以内で約5,000円/日、30日〜60日で約4,500円/日、60日以上で約3,300円/日が目安です。医療保険適用のため高額療養費制度も使えます。「医療を最後まで丁寧に受けたい」ご家族に向いています。

ホスピス(在宅・住宅型)の特徴

ホスピスは病院に限らず、近年では「ホスピス型住宅」と呼ばれるサービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホームでも提供されています。緩和ケア病棟との大きな違いは、入院期間に制限がなく、生活の自由度が高いことです[3]

平均滞在期間は30〜45日。費用は月額20〜30万円程度(住宅型の場合)と、医療保険+介護保険+居住費の組み合わせになります。「医療より暮らしを大切にしたい」「ご家族と一緒に過ごす時間を増やしたい」ご家族に選ばれます。

在宅ホスピスの特徴

在宅ホスピスは、住み慣れた自宅で訪問診療・訪問看護を受けながら最期を迎える形態です。費用は医療保険・介護保険の自己負担分(月数万円程度)と、ご家族の介護労力。

メリット:自宅環境・ペット・家族との時間を最後まで保てる。
デメリット:ご家族の介護負担が大きい、急変時の対応が課題。
主介護者の体力・精神状態によっては、途中でホスピス施設に切り替えるご家族も少なくありません。

特養での看取り(看取り介護加算)

意外と知られていませんが、特別養護老人ホームでも終末期の看取りに対応できます。介護保険には「看取り介護加算」という制度があり、医師が回復見込みなしと診断した利用者に対し、施設で看取り期のケアを行った場合に算定されます。

特養での看取りの強みは、長期入所からそのまま看取りまで「同じ場所・同じスタッフ」で過ごせること。長く暮らした施設で、なじみのある環境で旅立てる安心感は大きい価値です。詳しくは葵水ケ花の終末期ケア記事をご覧ください。

4つの選択肢を比較する判断軸

① 医療密度:緩和ケア病棟(高)>ホスピス(中〜高)>特養看取り>在宅ホスピス(個別)
② 居住の自由度:在宅>ホスピス>特養>緩和ケア病棟
③ 期間:特養(無期限)=在宅>ホスピス(45日)>緩和ケア病棟(30日)
④ 費用:特養(5〜15万円)<緩和ケア病棟(高額療養費後5〜10万円)<在宅(10〜20万円)<ホスピス(20〜30万円)

ご家族の優先順位と、ご本人のお身体の状態で選ぶのが原則です。

宗德グループのホスピス・クリニック設置計画

宗德グループは現在、独自のホスピス及びクリニック設置を計画中です。共生型ケアの理念を医療領域にまで広げ、終末期から日常医療まで地域の方々に切れ目なく寄り添う体制を目指します。

立ち上げから関わってくださる医師・看護師の方を募集中です。「最期まで自分らしく」を支える新しいホスピスのかたちを、共に作っていきませんか。詳しくは採用情報をご覧ください。

ご家族にとって何が大切かを話し合う時間を

「最期はどこで」を選ぶ作業は、ご家族にとってもっとも重い意思決定です。ご本人の意思(事前指示書・リビングウィル)が最優先ですが、ご家族の体力・経済状況・距離もまた現実です。

判断に迷ったら、複数の選択肢を見学・比較してみてください。宗德グループも見学・相談を随時受け付けています。1人で抱え込まず、専門家とご家族で話し合う時間を持つことが、後悔のない選択につながります。

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この記事を書いた人
宗德グループ 生活相談員・看護師チーム
看取り介護加算対応の特養運営20年以上、終末期ケアに関するご相談多数。 著者プロフィール →
出典・参考文献
  1. 日本緩和医療学会「緩和ケアの定義」:公式
  2. 緩和ケアとホスピスケアの違い解説(一般社団法人日本終末期ケア協会):公式
  3. 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」:公式