「最期はどこで」を、ご本人とご家族で決める時代に

かつて「最期は病院で」が一般的だった時代から、「住み慣れた施設で穏やかに」「ご家族と共に過ごしながら」という選択肢が広がってきました。特に特別養護老人ホームでは、看取り介護加算制度の整備により、終末期を施設で過ごすことが現実的になっています。

葵水ケ花(栃木県那珂川町)は看取り介護に対応する特養として、ご本人・ご家族の願いに寄り添ったケアを実践しています。

看取り介護加算とは

看取り介護加算は、医師が回復の見込みがないと診断した利用者について、施設で看取り期のケアを行った場合に算定される加算です[1]。介護保険制度上、施設での看取りが正式に位置付けられている枠組みであり、施設・医療機関・ご家族の合意のもとで進めます。

主治医意見書、看取り介護計画書、ご本人とご家族の意思確認書 ── 必要書類はすべて施設の生活相談員・看護師が連携してご準備します。「書類が複雑そうで不安」というお声もよくいただきますが、サポート体制が整っていますのでご安心ください。

葵水ケ花の看取りケア体制

看取り期に入った利用者については、個室対応・24時間の看護体制・ご家族の宿泊受入れを基本としています。協力医療機関の主治医による定期回診、看護師による日常観察、介護スタッフによる丁寧なケアを、チームで分担しながら継続します。

ご家族には、状態の変化を逐次ご報告。遠方のご家族にもビデオ通話で看取り期のご様子を共有し、必要なタイミングでお越しいただけるよう調整します。施設近隣にはホテル・旅館もあり、最期の数日を過ごすための滞在拠点もご案内します。

ご本人の「したいこと」を最優先に

看取り期のケアで最も大切にしているのは、ご本人の「したいこと」「食べたいもの」「会いたい人」です。医療的には食事摂取が難しくなっても、ご本人の好きなお茶の香りを楽しんでいただく、好きな音楽をかける、孫の写真を見せる ── 五感に届く穏やかな関わりが、最期の時間の質を決めます。

「もう何もできない」のではなく、「今できる小さなこと」を積み重ねる ── それが、看取り介護の本質です。

ご家族の心の支えも

看取り期は、ご本人だけでなくご家族にとっても重い時間です。葵水ケ花では、生活相談員がご家族の心の動きにも寄り添います。「いつまで会いに来られるだろうか」「最期に何を伝えたいか」「自分の生活はどうなる」── そうした揺れる気持ちを、率直にお話しいただける関係性を大切にしています。

看取り後のグリーフケア(喪の作業)にも、可能な範囲でお応えしています。ご本人を見送ったご家族の中には、「また施設に立ち寄って、お話ししたい」という方もいらっしゃいます。

2027年4月 ── 共生型特養39床への拡大

葵水ケ花は現在、特養29床+ショートステイ10床の従来型特別養護老人ホームとして運営されています。2027年4月から、共生型特養39床への拡大が予定されており、現在その準備が進められています。

共生型特養とは、高齢者だけでなく障がいのある方も同じ施設で暮らせる新しい形の特養です。ヴィラきみかげ荘で20年実践してきた共生型ケアのノウハウを、特養という長期入所の場でも展開します。

なぜ共生型に拡大するのか

高齢化が進む中で、障がいのある方も同様に高齢化しています。65歳を過ぎてからも「いつものスタッフ」「いつもの場所」で過ごせる体制を、終末期まで一貫して提供する ── これが共生型特養の意義です。

また、認知症高齢者と障がいのある方が共に暮らす環境は、双方にとって良い刺激になり、BPSDの軽減や生活の活性化にもつながります。多様性は、単なる理念ではなく、ケアの質を高める実用的な選択でもあります。

2027年拡大に向けた現在の体制

2027年4月の共生型特養39床化に向けて、葵水ケ花では現在、施設改修・人員増強・スタッフ研修を計画的に進めています。共生型サービスに対応できる多職種チームの育成、医療連携の強化、地域支援体制の整備など、準備は多岐にわたります。

2026年現在もすでに、29床の特養とショートステイ10床は通常運営しており、看取り介護にも対応中。2027年4月の共生型化により、より多様なご利用者を受け入れられる体制が整います。

広域入所の継続的受入れ

2027年の拡大後も、首都圏からの広域入所はもちろん継続して受け入れます。介護保険法第13条の住所地特例制度により、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県のいずれにお住まいでも、葵水ケ花に住民票を移して入所し、終末期まで過ごしていただけます。

「最期まで葵水ケ花で」というご希望に、長期的にお応えできる体制を整えていきます。

入所相談から看取りまでのワンストップ

入所のご相談、ケアプラン作成、入所後のケア、終末期の看取り、看取り後のご家族対応まで ── 葵水ケ花ではワンストップでお応えします。「最初から最後まで、同じ場所で同じ人たちと」という安心感が、私たちの大切にしている価値です。

関連記事

この記事を書いた人
葵水ケ花 施設長・看護師・生活相談員チーム
看取り介護加算対応。2027年4月共生型特養39床への拡大に向けて準備中。著者プロフィール →
出典・参考文献
  1. 厚生労働省「介護報酬告示・介護給付費単位数表(看取り介護加算)」PDF(介護保険最新情報Vol.1280)