「いきなり長期入所は不安」── そう感じるご家族へ

介護施設に親を預けるという決断は、ご家族にとって大きな心理的ハードルがあります。「合わなかったらどうしよう」「本人が嫌がったらどうしよう」「やっぱり在宅に戻すべきかも」── 揺れる気持ちのまま長期入所を決めるのは、ご本人にもご家族にも負担です。

そこで私たちが提案しているのが、「1週間のお試し入所」という考え方です。ヴィラきみかげ荘の共生型ショートステイを使って、まず短期間だけ施設で過ごしていただく。本人の様子・スタッフとの相性・生活リズム・食事・入浴 ── すべてを実体験で確認した上で、次のステップを考える方法です。

ショートステイ=お試しに使える理由

介護保険のショートステイは、本来は「短期入所生活介護」と呼ばれる制度で、在宅介護のレスパイト目的が中心です。けれどその仕組み上、数日から30日連泊まで利用できるため、結果的に「施設の暮らしを試す」用途にも使えます[1]

特に認知症のある方の場合、新しい環境に慣れるまで数日かかることが一般的です。1〜3日では判断が難しいため、1週間程度のショート利用が、ご本人の本来のご様子を見極めるのに適した期間といえます。

ヴィラきみかげ荘の体制

ヴィラきみかげ荘は2006年開所、共生型ショートステイ52床を年中無休・24時間体制で運営しています。介護福祉士・看護師・生活相談員がチームでケアを担当。認知症ケアに精通したスタッフが、新規入所される方一人ひとりの様子を丁寧に観察します。

高齢者と障がいのある方が共に暮らす「共生型」の環境は、認知症のある方にとっても刺激が豊かで、自然な対人交流が生まれやすい場です。利用者同士が声をかけ合う日常風景は、家族介護では得られにくい社会的活性化につながります。

事前に整えていただくと安心なこと

お試し入所をスムーズに進めるために、事前にいくつか整えていただくと助かります。

① 介護認定:要介護1以上の認定があれば介護保険が適用されます。未取得の場合は、お住まいの市町村に申請いただくか、宗德グループの居宅介護支援事業所がご案内します。

② ケアマネージャー:担当のケアマネさんがついていれば、その方に「ヴィラきみかげ荘でショートを試したい」とお伝えください。空床確認・調整は施設で対応します。

③ 主治医意見書・お薬手帳:内服薬がある場合は1週間分を分包して持参いただくと安全です。

④ ご本人への説明:「数日だけ温泉に行くようなもの」と前向きにお話しいただくのがおすすめ。「施設」「老人ホーム」という言葉に拒否感のある方も、温泉旅館感覚なら受け入れやすいケースが多いです。

ご家族はその間、何をすべきか

お試し入所中、ご家族はぜひ「何もしない時間」を取ってください。長期間の在宅介護で疲弊した心身を回復させる絶好の機会です。十分な睡眠、ご自身の通院、家族や友人との交流、温泉や旅行 ── 介護から完全に離れる時間が、次の判断の質を高めます。

「ご本人が心配で気が休まらない」というお気持ちもよく分かります。施設では毎日のご様子を写真付きでご報告し、ビデオ通話面会にも対応します。1日1回お顔を見れば、安心していただけることが多いです。

1週間後に見えてくること

1週間のお試し入所が終わると、いくつかのことが見えてきます。① ご本人の本当の介護度:在宅では家族の手厚いサポートで隠れていた要介護度が、施設で客観的に見えてきます。② スタッフとの相性:誰の声かけに反応しやすいか、誰になつきやすいか、施設スタッフとの相性が分かります。③ ご家族自身の体調変化:「介護から離れたら、こんなに楽になるのか」と気づくご家族も少なくありません。

これらを踏まえて、「在宅継続+定期ショート利用」「長期入所への移行」「葵水ケ花の特養を申込む」など、次の選択肢を冷静に検討できるようになります。

次の一手 ── 葵水ケ花への段階的移行

「ヴィラきみかげ荘との相性が良かったが、長期は特養がいい」という場合、宗德グループ内の葵水ケ花(栃木県那珂川町)への移行をご相談ください。郡山と那珂川町は車で約1時間半。グループ内の連携で、申し送り・ケア継続もスムーズです。

「ヴィラきみかげ荘で長期入所したい」というご希望にも、空床次第で対応します。まずは1週間のお試し入所からご検討ください。

費用と申込み

介護保険1割負担で、要介護3・多床室・食費・滞在費込みで1日3,500〜4,500円程度。1週間(7日)のお試し入所なら、合計2.5〜3万円が目安です。

お申込み・空床確認はお電話で承ります。ヴィラきみかげ荘直通024-947-4591、または本部024-937-0380まで。

「親不孝ではないか」という気持ちに

お試し入所を検討するご家族からよく聞かれるのが、「自分が楽をするために預けるのは親不孝では」というお気持ちです。けれど、私たちは20年以上の現場経験から確信しています。適切なタイミングで施設を活用するご家族ほど、ご本人との関係を長く穏やかに保てると。

疲れ切った状態でぶつかってしまう日々より、月1〜2回でも余裕を持って向き合える日々の方が、ご本人にとっても豊かな時間になります。お試し入所は、その新しい関係性への第一歩です。

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この記事を書いた人
ヴィラきみかげ荘 生活相談員チーム
認知症ケアに精通したスタッフが、お試し入所中のご様子を丁寧にご報告します。著者プロフィール →
出典・参考文献
  1. 厚生労働省/介護サービス情報公表システム「短期入所生活介護」利用料・期間