首都圏の特養待機者は今も20万人超

厚生労働省が2025年4月時点で公表した数値によれば、要介護3以上の特別養護老人ホーム待機者は全国で約20.6万人にのぼります[1]。3年前の調査と比べて約4.7万人減少したものの、東京都だけで約1万8,776人[2]、神奈川県・千葉県・埼玉県を合わせると首都圏1都3県で5万人を超える方が「特養に申し込んだまま入れない」という状態に置かれています。

中でも東京23区の状況は深刻です。要介護3以上が原則ですが、申込みから入所まで2〜3年待ち、ときには5年以上というご家族も珍しくありません。在宅で介護を続ける主介護者は、その間に自分自身が高齢になり、心身を消耗していきます。

「もう限界。でも近くの特養はどこも空きがない」── 私たち宗德グループの生活相談員が、首都圏のご家族から最も多く受けるお声です。そんな方に知っていただきたいのが、「広域入所」という選択肢です。

広域入所とは ── 他県の特養に申し込める制度

特別養護老人ホームは、住民票のある市町村の施設だけでなく、他都道府県の施設にも直接申し込むことができます。これを「広域入所」と呼びます。市区町村による措置入所の場合は老人福祉法第11条第1項第2号が、ご本人による直接契約での入所の場合は介護保険制度上の指定介護老人福祉施設サービスが、それぞれ法的根拠となっています。

つまり、東京・埼玉・千葉・神奈川にお住まいでも、栃木県那珂川町にある葵水ケ花や、福島県郡山市にあるヴィラきみかげ荘に申し込みができます。書類のやり取り・入所判定・契約の流れも、近隣の特養と大きくは変わりません。

介護保険料はどうなる?── 住所地特例制度

「他県の施設に入所したら、介護保険料が変わってしまうのでは?」というご質問をよくいただきます。結論から言えば、変わりません。介護保険法第13条に定められた「住所地特例」という制度により、施設入所のために住所を移しても、介護保険の保険者は元の市町村のまま継続するためです[3]

対象となるのは、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、介護老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などです。葵水ケ花のような特養はもちろん対象。東京都〇〇区にお住まいの方が栃木の特養に住民票を移しても、介護保険料・要介護認定・介護給付はすべて従前の〇〇区が引き続き担当します。

この仕組みのおかげで、施設のある市町村に介護費用が偏ることなく、利用者は住み慣れた地域の制度のまま新しい施設で生活できます。

費用面のメリット ── 首都圏有料老人ホームとの差

首都圏で介護付き有料老人ホームに入居すると、月額20万〜30万円が一般的な相場です。これに対し、特養(多床室・要介護3)の月額利用料は、介護サービス費(682円/日)と居住費(840円/日)、食費を含めても基準額で月額8万〜10万円程度[4]。さらに所得に応じた「負担限度額認定」を受けられれば、第3段階で月5万〜7万円台まで軽減されるケースもあります。

これは年間で計算すると、有料老人ホームと比較して100万〜200万円超の差になります。長期になりがちな介護費用において、この差は決して小さくありません。「親のために」と頑張りすぎて、ご家族自身の生活設計が崩れてしまっては本末転倒です。

申込みの実務 ── 何を準備すればよいか

広域入所の手続きは、近隣の特養と基本的に同じです。葵水ケ花の場合、まずは宗德グループ本部(024-937-0380)または葵水ケ花直通(0287-92-1530)にお電話いただき、生活相談員が現状をお伺いします。その上で、申込書・介護保険被保険者証の写し・主治医意見書・現在のケアプランなどをご準備いただきます。

担当のケアマネージャーにも一報入れていただくと、書類連携がスムーズです。「ケアマネに地方の特養を相談していいのか分からない」というお声もありますが、広域入所は法的に認められた選択肢ですので、堂々とご相談ください。

入所判定の流れ

特養は申込み順ではなく、要介護度・在宅状況・主介護者の状況・緊急度などを総合的に評価する「入所判定会議」で決まります。葵水ケ花でも月1回、施設長・看護師・生活相談員・介護支援専門員が参加する判定会議を開催しています。

広域入所の方が不利になる仕組みはありません。むしろ、首都圏で長期間待機している方は緊急度の評価で考慮されるケースが多くあります。「他県だから後回しにされるのでは」というご心配は不要です。

葵水ケ花の現状 ── 空床と2027年拡大計画

葵水ケ花(栃木県那須郡那珂川町和見1940-1)は、特養29床+ショートステイ10床で運営する従来型特別養護老人ホームです。2027年4月から共生型特養39床に拡大予定で、現時点でも空床がございます。広域入所のご相談をお待ちしています。

那珂川町は栃木県北部の自然豊かな町で、宇都宮駅から車で約1時間。施設は年中無休・24時間体制で運営し、看取りまで対応しています。

「ヴィラきみかげ荘」というワンクッション

「いきなり遠方の特養はちょっと不安」というご家族には、ヴィラきみかげ荘(福島県郡山市)の共生型ショートステイをご提案しています。最大30日間のショートステイで施設の暮らしに慣れていただいてから、葵水ケ花への長期入所に移行する段階的アプローチです。

郡山駅は東京駅から東北新幹線「やまびこ」で約1時間20分。栃木の那珂川町よりさらに、ご家族の面会がしやすい立地です。「まずはショートで試してみる」というご利用も歓迎しています。

よくある誤解 ── 親不孝でも、施設任せでもない

「親を地方の施設に入れるなんて、親不孝では」と感じてしまうご家族もいらっしゃいます。けれど、私たちが20年以上この仕事をしていて確信しているのは、主介護者が倒れてしまったときの代償は、ご本人の生活そのものに直結するということです。

介護離職は2017年だけで全国約10万人[5]。介護うつで精神科を受診される方も増え続けています。ご本人とご家族双方の生活を守るために、地方特養という選択肢があります。施設に入れる=介護を放棄する、ではありません。「定期的な面会」「ビデオ通話」「節目の外出」など、関わり方は新しい形で続いていきます。

まずはお電話ください

広域入所、住所地特例、費用シミュレーション、空床状況、見学のご手配 ── どの段階のご相談でも、宗德グループの生活相談員が丁寧にご対応します。「うちの場合はどうなる?」という個別の試算もお気軽にどうぞ。

本部:024-937-0380(平日9:00〜18:00)/葵水ケ花直通:0287-92-1530/ヴィラきみかげ荘直通:024-947-4591

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この記事を書いた人
宗德グループ 生活相談員チーム
1988年創業。福島県郡山市・栃木県那珂川町を拠点に、介護老人福祉施設・共生型ショートステイ・障がい者生活介護・グループホームの4施設を運営。スタッフ111名、年間数百件のご相談に対応。広域入所のご相談も多数受付中。著者プロフィール →
出典・参考文献
  1. 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度集計)」介護ニュースJoint まとめ記事
  2. 東京都社会福祉協議会「令和7年度 東京都内特別養護老人ホーム入所(居)待機者に関する実態調査」GemMed まとめ
  3. 厚生労働省 老健局「住所地特例 参考資料(社会保障審議会介護保険部会)」PDF
  4. 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1280(令和6年6月21日)」PDF
  5. 厚生労働省「就業構造基本調査」(介護離職者数の推移)