介護費用は「総額」で考える

介護施設の費用を比較する際、月額利用料だけを見ても本当のコストは分かりません。入居一時金・追加サービス料・医療費・看取り期間の費用なども含めた「総額」での比較が大切です。本記事では、首都圏の介護付き有料老人ホームと、栃木の特別養護老人ホーム葵水ケ花を、客観的な数値ベースで比較します。

首都圏の介護付き有料老人ホーム ── 月20〜30万円

大手調査会社の2025年データによれば、全国の介護付き有料老人ホームの平均月額は約23.3万円[1]、入居一時金の中央値は約60万円です。首都圏に絞ると、東京23区内では月額25〜35万円、入居一時金100万円以上のケースも珍しくありません。

月額の内訳は、家賃相当の「居住費」が10〜15万円、食費が5〜6万円、管理費・水道光熱費が3〜5万円、介護保険自己負担分が1〜2万円。これに加えて、おむつ代・理美容代・通院送迎費などが別途かかります。年間に直すと240万〜400万円。10年間入居すれば2,400万〜4,000万円が必要になる計算です。

特別養護老人ホーム(多床室)── 月8〜10万円

特養(介護老人福祉施設)の費用は、厚生労働省が公表する基準額によって全国ほぼ均一です。要介護3で多床室の場合、介護サービス費が682円/日(≒月20,460円)、居住費が840円/日(≒月25,200円)、食費が1,445円/日(≒月43,350円)。合計で月額約8.9万円が基準額となります[2]

これに加えて、おむつ代は施設側が負担するケースが多く、医療費は協力医療機関と連携した訪問診療等で抑えられます。実質的な総額負担は月10万円前後に収まることが一般的です。

負担限度額認定でさらに軽減

所得や預貯金が一定基準以下の方は、市町村に申請することで「負担限度額認定」を受けられます。認定区分は第1〜第3段階に分かれ、それぞれ居住費・食費の上限額が定められています[2]

たとえば第3段階①(年金収入120万円以下)の場合、多床室の居住費は1日370円、食費は1日650円が上限。これだけで月3.5万円ほど軽減され、実質月5〜7万円台で利用できるケースもあります。住所地特例制度により、他県の特養を利用しても従前の市町村が引き続き保険者となるため、軽減認定もそのまま継続されます。

10年間の総コスト比較

具体的な数字で比較します。首都圏の介護付き有料老人ホーム(月25万円・入居一時金100万円)に10年入居した場合、総額は3,100万円。これに対して、葵水ケ花の特養(多床室・月10万円)に10年入居した場合は1,200万円差額は約1,900万円です。負担限度額認定を受けて月7万円なら、総額840万円、差額は約2,260万円にまで広がります。

この金額は決して「節約のための妥協」ではありません。むしろ、ご本人とご家族が安心して長期生活を続けるための重要な経済設計です。

隠れたコストの違い

有料老人ホームでは、医療費・看取り対応・追加サービス(個別レク・送迎等)が別料金になることが多く、月額料金の外で年間50万〜100万円が追加でかかるケースもあります。一方、特養は「介護サービス費」に多くのケアが包括されており、追加コストが発生しにくい構造です。

また、有料老人ホームでは要介護度が上がる・医療的ケアが必要になる際に、別施設への転居を求められるケースもあります。特養はこうした転居リスクが基本的になく、看取りまで同じ施設で過ごせる安心感があります。

「特養は入れない」という思い込み

「特養は待機が長くて入れないのでは?」という心配で、有料老人ホーム一択になっているご家族も多くいらっしゃいます。けれど、首都圏で待機が長いのは事実ですが、地方の特養には空床がある施設も少なくありません。葵水ケ花も2026年現在、空床のご相談を受け付けています。

他県の特養に申し込める「広域入所」は法的に認められた制度で、住所地特例によって介護保険制度上の不利益も発生しません。「待機を理由に高額な施設を選ぶ」必要は、必ずしもないのです。

費用シミュレーションの相談

ご本人の介護度・所得・現在のお住まい・ご家族の生活設計を踏まえて、具体的な費用シミュレーションを行います。「うちの場合は実際にどれくらい違う?」という比較資料も、宗德グループの生活相談員が個別にお作りします。

後悔しない選び方とは

大切なのは、月額の数字だけでなく「10年後・15年後」の生活を想像することです。入居一時金が低くても月額が高ければ、長期では総額が膨らみます。逆に、入居一時金が高くても月額が安く看取りまで対応する施設は、長期的には経済的負担が小さい。費用と暮らしの質、両面から納得して選ぶ ── そのお手伝いをするのが私たち生活相談員の役目です。

まずは個別シミュレーションを

「うちはこの試算でどうなる?」という個別のご相談、お電話で承っています。葵水ケ花直通0287-92-1530、または本部024-937-0380までお気軽にどうぞ。資料の郵送、FAX・メールでのやり取りにも対応しています。

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この記事を書いた人
宗德グループ 生活相談員チーム
入居費用シミュレーション、負担限度額認定の手続きサポート、家族会計を含めた長期試算まで対応。年間数百件の相談実績。著者プロフィール →
出典・参考文献
  1. LIFULL介護「全国の老人ホーム・介護施設の費用相場 月額料金25.7万円」統計データ
  2. 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1280」PDF/厚生労働省「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」PDF